“Please tell me your cues”Part.1
![栗原菜津季と今井渉](/house-journal/img/ns-in-focus/vol001/img_intro_01.jpg)
「N’s IN FOCUS」第1回目は、adcues agencyの営業、今井渉さん。
広告代理店の営業として活躍する彼は実は制作畑出身なんです。そんな今井渉さんの“Cue”にFocusし、様々な“Cue”を教えていただきました。Part.1 Part.2の2篇に分けてお送りします。
映画『アバター』(2009年)との出会いで、映像作品がただの娯楽ではなくなった
栗原菜津季(以下栗原):今井さんは前職が制作会社ということですが、制作者になろうと、広告に携わろうと思ったきっかけ、cueはなんでしたか?
今井渉(以下今井):高校生のとき、「どんな自分になるんだろう」「何がしたいんだろう」「何のために居るんだろう」って考えたとき、なんとなく「地図に残る仕事ってかっこいいよね」と人並みに思っていました。ただ、絶望的に数学が苦手で…。「理系じゃないのか、俺は」と気が付きました。そうこうしてるときに夏目漱石の『こころ』に出会ったんです。知ってますか?『こころ』。
Cue.01 Teacher
栗原:知ってますよ、“ K ”ですよね。
今井:そうです!あれ、構成とかも面白くて。内容ももちろん面白いし、マイノリティの人の生き方、題材としても面白かったりして。そして教えてくれた国語の先生がすごく良かったんです。
本の読み方を教えてくださる方でした。「当時こうやって連載やってたみたいだね」とか、時代背景を教えてくれたり、小説の構造の話もしてくれたり、「文学っておもしろいんだな」って思ったんです。元々本を読むのも好きだったし、“表現する側”に興味を持つようになりました。そこで“人に与える影響力の大きさ”みたいなものにも興味を持ったんですが、作家の道は才能的にも難しいものもあるかもしれないし、いろんなリスクを抱えることになるので、出版社とか編集者はどうかと考えました。その流れで大学は文学部を志していましたね。
栗原:そういう背景があったんですね。初耳でした。
![今井渉の写真](/house-journal/img/ns-in-focus/vol001/img_article_01.jpg)
今井 渉(Wataru Imai)
2020年adcues agency入社、テレビ局、新聞社の媒体交渉及び営業担当。映像業界を経て現在に至る。
仕事柄交渉に携わることが多いことはもちろんだが、人脈の広さは目を見張るもの。
今井:そうなんです。でも、2010年、センター試験で爆死しまして(笑)「良し!浪人しよう」って一番仲良かった友達と言い合いながら、センター試験翌日にその友達と映画観に行きまして、そこで観たのがジェームズ・キャメロン監督の『アバター』(2009年12月公開)でした。それまで映画は人並みに好きで、ハリーポッターやジブリ系、子供のころはゴジラとかも観て普通に好きではあったんですが、ただ「エンタメじゃん」て思ってたんですよね。文学少年だったので(笑)「言うて映画って娯楽じゃん」って(笑)でも当時『アバター』を観て、ちゃんと娯楽でありながらメッセージ性を含んでいて啓蒙的なこともできるってすごいなって思ったんです。
Cue.02 avatar
栗原:18歳までの今井少年は映画を単なる“エンタメ”と捉えていたのですね。
今井:はい。小説と漫画と映像でよく言われるのが、文字は「能動的に読むペースや順番も自分で調整できる。想像力を働かせて全部自分で創造するもの」、漫画は「絵があるので想像力を助けてくれる」、映像は「時間も全部決められてほっとけば入ってくるもの」っていうふうに言われるんですね。なので、言い方は乱暴ですが映画はぼーっとして見ても自分で読まないので考えなくていい、と。ペースや時間は制限されますし、映画館では振り返りたいシーンに自分で戻れないとか制限されてしまう部分もあるんですが、その一方的に与えてもらえることによって受け入れやすさが圧倒的に大きいんです。それが映画、映像のいいところではあるんですが。なので文学に比べて能動的ではない映画は、エンターテインメントの枠を超えないなと思っていました。でも『アバター』を見たときに、エンタメの中に地球環境、先住民族との共存など啓蒙されつつ、かつただの啓蒙映画でもない。映像の美しさもしっかりあり、エンタメとしても楽しめるんです。そのとき映像の世界のすごさを感じました。
![栗原菜津季の写真](/house-journal/img/ns-in-focus/vol001/img_article_02.jpg)
栗原:確かに、『アバター』はポスター見た時は思わなかったですが、観ると「そういう映画なんだ!」ってなる内容ですよね。公開当時に映画館で観ただけなので改めて観てみようと思います。
今井:そうなんです。でも、当時は行きたい大学で映画学みたいなところはなかったし、勉強としては文学をやりたかったので、進学して映像を学ぶのではなくて、映像を作るサークルを友達と作りました。そんな中で、映像に興味を持ちながらテレビを見ていて衝撃を受けたことがあったんです。ダイハツミライースのCMって覚えてますか?
Cue.03 Mira e:s
栗原:全く。車のCMなんだろうなってことくらい(笑)
今井:やっぱり(笑)僕、この話して共感しくれた人が今まで一人もいないんですよ(笑)でもブルース・ウィリスは知ってますよね?
栗原:ダイ・ハードですね。
今井:はい、そのブルース・ウィリスがダイハツのCMに出てたんですよ。
栗原:え、そうなんですか。まだピンと来てない(笑)
今井:(笑)そのダイ・ハードのカッコイイイメージのブルースウィルスがCMに出てて、「なんだこれ」って思ったんです。別のシリーズでは堤真一も出てたんですよ。しかも堤真一が蕎麦の出前とぶつかるシーンで蕎麦が道に散乱していたり、別のシリーズでは遺言書を読み上げるとか、全く車と関係ないシチュエーションなんです(笑)しかもくだらないんですけど、すごい面白いCMがそのときダイハツミライースでいっぱいあったんです。
![](/house-journal/img/ns-in-focus/vol001/img_article_03.jpg)
栗原:車と関係ないシーン設定だけど、きちんとミライースの効果的な宣伝になっているんですね。
今井:テレビCMの15秒、30秒のパワフルさを感じましたね。この与えるメッセージ力の強さを感じて、「CMってすごいな」って思ったんです。そして1秒に対してかかるお金がすごく高い。お金ないって言いながら、節約して映画を一生懸命作るより、いろんなことができたらいいかもなって思うようになりましたね。
Cue.04 Bias
栗原:ではそこで広告代理店の方に進もうと思ったんですか?
今井:最初から広告代理店という手ももちろんあったとは思うんですが…。当時まだ生意気なガキで、なんかこう、大きいところに入るのが嫌だったんですよね。「代理店ってお前、結局何もしてないじゃん」って思ってたんですよ(笑)現場で作っている人は監督、カメラマンだし、その下の人たちが一所懸命動いて働いて出来ているって。「代理店ってふんぞり返ってお酒飲んでるだけでしょ」みたいなイメージがあったんです。そんないろんな偏見で代理店を見ていた世間知らずな当時の僕は、制作会社に入ろうと志したわけです。そこで前職の制作会社に入って、制作や広告作りに携わるようになりました。どうでしょう、伝わりましたか?
栗原:はい!ありがとうございます。意外と今井さんは尖っていたことが良く分かりました(笑)
「N’s IN FOCUS」記念すべき第1回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回も引き続き、今井さんとの対談パート2です。さまざまなcueを経て、映像業界に入られた今井さんが、adcues agencyに入った最後のcue、そして、それらのcueの影響などを次回はさらに深ぼって行きたいと思います!
前職は人材派遣業界で、総務として派遣社員の面接・給与計算・年末調整、募集している求人作成などを行っていました。
広告事務・管理がメインですが、今は多岐にわたる業務に携わらせていただいております!
![栗原菜津季の写真](/house-journal/img/ns-in-focus/vol001/img_profile_kurihara.jpg)
4歳児の母、毎日育児に奮闘し、子どもを寝かしつけているはずがこっちが先に寝落ちして気がづけば朝です。ぎょえ〜〜〜
好きな食べ物はカブで、今自分で育てて収穫が楽しみです(老後は農業ができる土地に移住したいです)
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